整形外科Orthopedics

巻き爪(陥入爪)

ワイヤーによる矯正など様々な治療法で
巻き爪による悩みを改善

巻き爪とは爪のフチの部分が皮膚に食い込んでいる状態で足の親指に生じやすいものです。
爪が皮膚を刺激することにより赤く腫れたり、膿んだりします。
爪を切りすぎる深爪などの不適切な処置、先の細い靴による足の指の圧迫などが原因で起こります。

巻き爪
巻き爪

巻き爪の症状と治療法

  •              
    巻き爪の治療法
    部分切除法(鬼塚法など) 保険適応
    フェノール法
    アクリルガター法
    爪甲・爪母全切除法
    プレート法 保険適応外
    マチワイヤー法(ソルブ)
    VHO式矯正法
    その他
  •      
    巻き爪の分類と頻度
    半月型 35%
    ステープル型 4%
    半ステープル型 7%
    ピンサー型 26%
    トランペット型 3%
    渦巻型 2%
    混合型(陥入爪を含む) 23%

部分抜爪

化膿がひどい場合は、爪の皮膚に食い込んでいる部分だけを短冊状に切除する「部分抜爪」が有効です。多くはこの方法で改善されます。

陥入爪根治術

部分抜爪を何度も繰り返す必要がある場合や巻き爪が高度な場合は、巻き爪の変形している部分(爪縁から2〜3mm)を切除し、この部分に爪が生えてこないように爪母(爪の生える基の組織)を切除します。

巻き爪矯正

超弾性ワイヤーやプレートを爪に取り付けて湾曲した爪を矯正する方法です。爪が短い場合は2本のステンレス製のフックを爪の両サイドにひっかけて引き上げる方法もあります。

3TO(VHO)矯正術

この方法は爪を深く切り込んでいても施術が可能で、専用スチール綱を爪の左右に引っ掛けて、巻き上げて爪に固定します。施術当日から入浴、運動も可能で、日常生活にほとんど支障がありません。

3TO(VHO)+マチワイヤー

2本の異なる弾性ワイヤーを用いて早期に矯正をかける方法です。最近では、当院が積極的に採用している術式です。
参考サイト http://www.vho.jp/
(当院は3TOの実施施設に認定されています)

症例

左足

巻き爪
巻き爪
術直後
巻き爪
2ヶ月後
巻き爪
6ヶ月後

右足

巻き爪
巻き爪
術直後
巻き爪
3ヶ月後
巻き爪
6ヶ月後

70代女性
数年前から徐々にらせん状に爪が巻き込んで、痛みも強くなってきた。

術式
鋼線療法(形状既記憶弾性ワイヤー+3TO・VHOワイヤー)
説明
高度の渦巻き型の巻き爪で、通常の陥入爪手術では治療が困難なため、ワイヤー治療を選択。肥厚した爪甲を専用ドリルでthinningした後、指背側神経ブロック下に2種類のワイヤーを爪甲に装着した。手術時間約30分
メリット
複数本の鋼線を装着することにより矯正効果が強く、短期間に効果が現われる。鋼線の交換はほとんど不要。切開がないため翌日から入浴、軽い運動は可能。
副作用(デメリット)
爪郭部分の痛み、腫れ、爪下血種、アレルギー症状、感染、爪甲の過矯正などが考えられる。
費用
1趾:10000円+鋼線費用別途(鋼線費用は使用した長さのみの請求になります)

左足

巻き爪
巻き爪
術直後
巻き爪
4週間後
巻き爪
6週間後

右足

巻き爪
巻き爪
術直後
巻き爪
4週間後
巻き爪
6週間後

40代男性
数年来の巻き爪で、爪甲の中央部がテント上に盛り上がって、シューズを履くと圧迫されて強い痛みがある。頻回に再発を繰り返しており、鋼線治療歴あり

術式
鋼線療法(形状記憶弾性ワイヤー+3TO・VHOワイヤー)
説明
両側とも半ステープル型の巻き爪で、過去にワイヤーの治療歴があり、再発を繰り返してきたため、矯正効果の強いマルチワイヤー法を実施。指背側神経ブロック下に、右側に2本の弾性ワイヤーと3TO、左側に1本の弾性ワイヤーと3TOを装着した。手術時間50分
メリット
マルチワイヤー法により矯正効果が非常に強く、短期間に効果が現われる。鋼線の付け替えはほとんど不要。切開しないため翌日から入浴、軽い運動は可能。
副作用(デメリット)
術後の痛み、腫れ、血種、感染、アレルギー症状、爪甲の科矯正などが考えられる。
費用
1趾:10000円+鋼線費用別途(鋼線費用は使用した長さのみの請求になります)
巻き爪
巻き爪
3週間後
巻き爪
6週間後
巻き爪
4ヶ月後

20代女性
5年前から両側母趾の陥入爪となり、再発を繰り返している。複数の医療機関で爪甲部分切除術、プレート法、レーザー治療等を受けていた。

術式
陥入爪手術(爪床、爪母の形成を伴う複雑な手術)
説明
治療歴が長く、繰り返しているため根治的な治療法を選択。指背側神経ブロック下で爪基部の爪母(両側)を短冊状に切除。側爪郭部の肉芽を切除し、さらに爪甲基部に弾性ワイヤー(0.35mm)を挿入し、爪を矯正。手術時間60分
メリット
繰り返す陥入爪には、爪母を切除する根治的手術を行うことが出来る。
副作用(デメリット)
術後の痛み、腫れ、血種、感染、アレルギー症状などが考えられる。
費用
保険適用 1趾:2490点(7470円/3割負担)
巻き爪
巻き爪
術直後
巻き爪
3週間後
巻き爪
5週間後

60代男性
3年ほど前から巻き爪が強くなり、痛みも出てきたため他医療機関で1か月に一度くらいの頻度でワイヤー交換に通っていたが、効果も限定的でワイヤーが外れることが多かった。

術式
鋼線療法(形状記憶弾性ワイヤー+3TO・VHOワイヤー)
説明
爪甲が固い半ステープル型の巻き爪であるが、過去にワイヤーの治療歴があり、再発を繰り返してきたため、矯正効果の強いマルチワイヤー法を実施。指背側神経ブロック下に、2本の弾性ワイヤーと3TOを装着。手術時間40分
メリット
マルチワイヤー法により矯正効果が非常に強く、短期間に効果が現われる。鋼線の付け替えはほとんど不要。切開しないため翌日から入浴、軽い運動は可能。
副作用(デメリット)
術後の痛み、腫れ、血種、感染、アレルギー症状、爪甲の科矯正などが考えられる。
費用
1趾:10000円+鋼線費用別途(鋼線費用は使用した長さのみの請求になります)
巻き爪
巻き爪
術直後
巻き爪
2ヶ月後
巻き爪
4ヶ月後

60代女性
10年程前から徐々に巻き込みが始まり、最近になって、先端のくい込みが強くなり痛みを生じるようになった。治療歴なし

術式
マルチワイヤー法(ソルブワイヤー単独)
説明
爪甲が厚く硬いため、thinningの後に強度の異なる3本のソルブワイヤーを挿入した。手術時間30分
メリット
マルチワイヤー法は厚く硬い爪に有効で、矯正効果に優れている。鋼線の付け替えが不要。翌日から入浴、軽い運動が可能。
副作用(デメリット)
術後の痛み、腫れ、血種、感染、アレルギー症状、爪甲の過矯正などが考えられる。
費用
1趾:10000円+鋼線費用別途(鋼線費用は使用した長さのみの請求になります)

有害事象例

巻き爪
巻き爪
術直後
巻き爪
2週間後
巻き爪
2ヶ月後

40代女性
7年前から巻き爪が始まり、段々と巻き込みが強くなり、痛みが出てきたため受診。鋼線治療歴あり

術式
鋼線療法(形状記憶弾性ワイヤー+3TO・VHOワイヤー)
説明
ピンサー型の巻き爪で、過去にワイヤーの治療歴があり、再発を繰り返してきたため、矯正効果の強いマルチワイヤー法を実施。指背側神経ブロック下に、右側に2本の弾性ワイヤーと3TOを装着。2週間後より内側爪郭部の腫脹と痛みが出現。爪基部の弾性ワイヤーが深く入り過ぎて炎症を起こしため抜去。
メリット
マルチワイヤー法により矯正効果が非常に強く、短期間に効果が現われる。鋼線の付け替えはほとんど不要。切開しないため翌日から入浴、軽い運動は可能。
副作用(デメリット)
術後の痛み、腫れ、血種、感染、アレルギー症状、爪甲の過矯正などが考えられる。
費用
陥入爪手術:1400点(4200円/3割負担)
有害事象(n=184趾)
側爪郭炎 5名 5趾
クラック 10名 10趾
爪甲破損 7名 7趾
爪甲変形 3名 3趾
爪下血腫 2名 3趾
爪甲変色 1名 2趾
折損(鋼線) 1名 1趾

治療費について
施術方法により異なりますが保険診療の適応と自費診療がございますので電話にてお尋ねください。