リウマチ
リウマチは早期の治療が鍵。
医療の進歩により治療の幅も広がっています。
関節リウマチは、本来は体を守る仕組みである免疫機能に異常をきたし、
自分自身を攻撃してしまうため関節炎がおこる病気です。これを自己免疫疾患といいます。
ひと昔前までは、「治りにくい病気」という印象がありましたが、近年リウマチ医療は大きく進歩しています。
新しい薬が次々と開発され治療の幅も広がりました。リウマチは早期に治療することが大切で、
発症一年以内の患者さんの80%〜90%は寛解状態に導入することが可能といわれています。
関節リウマチってどんな病気?
関節リウマチは関節が腫れ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。関節リウマチは関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されてしまい、関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形してしまいます。手首や手足の関節で起こりやすく、左右の関節で同時に症状が生じやすいことも特徴です。
30〜50歳の女性に多く発症
関節リウマチが発症するピーク年齢は30〜50最代の女性に多く、現在日本に70万人以上の患者さんがいると言われています。
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炎症の悪化を引き起こすのはIL6やTNFαなどのサイトカイン
体内で炎症が生じたときには、サイトカインという物質が過剰に分泌され、それが炎症を悪化させます。最近、関節リウマチの治療で使用されるようになった生物学的製剤は、このサイトカインの働きを抑え、炎症を沈静化させることができます。
関節リウマチの治療目標と治療法
関節リウマチの治療目的は、寛解を目指すことです。 寛解とは、リウマチの症状・徴候が消失した状態です。 そのためには、関節の痛みや腫れをとること、骨・関節の進行を抑えること、生活機能(QOL)を改善することの3つが重要です。 関節リウマチの治療法として、症状の進み具合に合わせて、薬物療法、手術療法、リハビリテーションなどが行われます。薬物療法の目的は関節の腫れや痛みを抑え、関節破壊の進行を抑制することで、消炎鎮痛剤、抗リウマチ薬、ステロイド、生物学的製剤などがあります。
早期に発見、早期に治療すれば
関節破壊の進行を抑制できる
関節リウマチは、関節が破壊され、変形して動かなくなってしまう病気です。最近の研究では、関節破壊は、関節リウマチの発症後、早期から進行することが明らかになりました。しかし、早期に発見して、早期から適切な治療を行えば、症状をコントロールし、関節破壊が進行するのを防ぐことができます。関節リウマチではないかと思ったら、専門医の診察を受けることをお勧めします。
サイトカイン療法
サイトカインは種々の病気を引き起こしたり、症状の進行に関わるタンパク質です。関節リウマチでは、IL6やTNFαといったサイトカインが関節内で増殖し、関節の軟骨や骨の細胞に結合すると、関節の腫れや破壊がさらに進行します。関節リウマチに用いられる生物学的製剤は、IL6やTNFαが細胞に結合するのを防げて、炎症を沈静化させる作用があります。 サイトカイン療法は、今までは、従来のリウマチ治療剤で効果の低い場合やリウマチが進行してしまった場合に用いるというのが一般的な傾向でした。しかし、最近では早期から積極的に使用し寛解導入を目指す、こうした治療法が取られるようになりました。
日本では12剤の生物学的製剤が承認されており、関節リウマチの治療に用いられています。生物学的製剤投与の効果は早ければ数日で現れ、関節の痛み、腫れの軽減や日常生活のQOL向上などを多くの患者さんが実感されています。 当院では関節リウマチの急性期の積極的な治療により、速やかに関節リウマチの収束へ導くために生物学的製剤の計画的な投与方法を実施しています。最近では生物学的製剤の後発品も発売され、使用できるようになりました。効果・安全性の面でも良い評価を受けており、治療費の削減(窓口負担の軽減)に寄与しています。