下肢静脈瘤の治療
根治的治療
根治的治療には血管内治療とストリッピングの大きく分けて二種類存在しますが、最近はより低侵襲な血管内治療が下肢静脈瘤治療の主流となってきています。血管内治療とはカテーテルという2mm程度の細い管を使って、メスで皮膚を切る事なく行う治療法です。血管内治療の中にも血管内焼却術と血管内塞栓術があり、いずれも日帰り治療で局所麻酔で行うことが可能です。側枝静脈瘤の追加治療が必要な場合はstab avulsion法による瘤切除を行うこともありますが、こちらも日帰りで治療可能です。
血管内焼却術について
血管内焼却術はカテーテルを静脈の中に挿入し、内側から焼いて血管を塞ぐ手術です。血管内治療にはラジオ波とレーザー治療が存在しますが、当院ではラジオ波を採用しています。治療成績や合併症の頻度は同等とされています。局所麻酔で2mm程度の傷で行います。手術時間は片足15-30分程度で術後の傷もほどんどありません。
血管内塞栓術(グルー治療)について
血管内塞栓術はカテーテルを静脈の中に挿入し、接着材(グルー)を挿入する事で血管を塞ぐ治療法です。2019年12月に保険適用となりました。血管内焼却術との違いは
①広範囲の局所麻酔(TLA麻酔)が不必要
②術後の弾性ストッキングが不要
などが挙げられます。まれにアレルギー反応が起きたり、血管径が12mm以上は適応外であったりデメリットもありますので、治療法を説明した上で最適な治療を選択していきます。
症状を改善する治療
圧迫療法(弾性ストッキング)
圧迫療法は医療用の弾性ストッキングという着圧の強い靴下を履く事で、足から心臓へ血液の戻りをサポートする治療法です。この医療用の弾性ストッキングは足首に一番圧力がかかり、上へむかうほど着圧が弱くなるように調整されています。よく薬局でも旅行用などでストッキングは販売されていますが、市販のものではふくらはぎに最も圧がかかるように調整されており、下肢静脈瘤の場合は医療用のストッキングの着用が望ましいです。
硬化療法
ポリドカノールという硬化剤をフォーム状にして静脈瘤内に注入し静脈を閉塞させる治療法です。硬化剤によって血管内皮が障害され血栓閉塞が起こり、静脈壁が繊維化して、約6ヶ月で退縮・消失します。注射で行える簡便な治療ですが、一時的に色素沈着(ヘモジデリン沈着)が出ることがあり、消えるまで数ヶ月〜1年程度かかることもありますが、ほとんどの場合症状は軽減することが多いです。